本事業では、実効性の高い技術に基づき福島第一原子力発電所の廃止措置を実現することを目指しており、５ヵ年計画の3年目となる平成29年度は、以下に示すように本研究プログラムの深度化に努めた。
地盤工学会では、委員会において地盤系技術の位置付けや新技術の発掘、その実現性について検討すると共に、廃炉地盤工学技術の見える化を進め、地盤系新技術を用いた廃炉シナリオの検討も行った。さらに、シラバスの検討・教材の試作を行い、廃炉地盤工学教育システムの構築を進めると共に、廃炉地盤工学の認知度向上・技術の集約体制の構築を目的として、研究発表会における特別セッションの開催、ホームページの拡充等を図った。
再委託先の早稲田大学では、超重泥水や覆土材の仕様設計に資するため、各材料仕様に応じて取得した放射線遮蔽データを拡充すると共に、一次データベースの作成を行った。さらに各材料仕様に応じた施工性評価のため、超重泥水の充填施工性・安定性や覆土材の保水性能を定量評価したほか、委員会で進めているシナリオ検討支援のために、これらの成果に基づく新技術メニューを作成した。
もう一方の再委託先である千葉工業大学では、長期間の地下水環境・作業環境状況調査のための地下水流動評価技術の開発基盤として、室内土層実験により現状把握と予測解析に展開するための課題をまとめたほか、現場実証実験により地下水流動による物質移動の評価を行った。また、広域･長期間の地下水環境変動予測技術開発のため、サイト周辺の詳細地下水流動解析を実施し、非定常解析の可能性を検討した。
なお、両再委託先の大学では、卒業・修士・博士研究を通じて、これらの成果を得る事で人材育成を行った。
概略
1. はじめに
2. 業務計画
2.1 全体計画
2.2 本年度計画
2.3 平成29年度の成果の目標及び業務の実施方法
3. 平成29年度の実施内容及び成果
3.1 廃炉地盤工学を通じた人材育成プログラム
3.2 超重泥水・各種覆土の放射線遮蔽性能評価（再委託先：早稲田大学）
3.3 地下水環境等の解析･調査技術と予測技術の高度化（再委託先：千葉工業大学）
3.4 研究推進
4. 結言