本事業では、実効性の高い技術に基づき福島第一原子力発電所の廃止措置を実現することを目指しており、5ヵ年計画の4年目となる平成30年度は、以下に示すように本研究プログラムの深度化に努めた。
地盤工学会では、委員会において廃炉地盤工学の内容の充実を図るために再委託先等で新たに開発された技術の組込み等を検討し、これまでの活動で作成した技術マップを拡充すると共に、NDF等から提示された廃炉シナリオに対する適用性の検討を行った。また、前年度に引き続き廃炉地盤工学の見える化を進めたほか、関連機関からの情報収集を通じて処分シナリオの検討を行った。人材育成面では、構築したシラバスを基に教材の試作・内容の向上を図り、早稲田大学において廃炉地盤工学の授業を実施すると共に、教材のビデオ化について検討を行った。さらに廃炉地盤工学の認知度向上・技術の集約体制の構築のため、研究発表会における特別セッションの開催、ホームページの拡充等を図った。
再委託先の早稲田大学では、超重泥水や覆土材の仕様設計に資するため、各材料仕様に応じて取得した放射線遮蔽データを拡充すると共に、一次データベースの拡張を行った。さらに各材料仕様に応じた施工性評価のため、タクタイルセンサシステムやテクスチャーアナライザーを活用して超重泥水の充填施工性と安定性を、保水性試験装置及び水ポテンシャル測定装置を用いて覆土材の保水性をそれぞれ定量測定し、一次データベースを作成した。
もう一方の再委託先である千葉工業大学では、長期間の地下水環境・作業環境状況調査のための地下水流動評価技術の開発基盤として、室内土層実験により地下水流動によって物質が移動する移流分散現象の測定方法を検証し、現場実験に展開するための課題をまとめた。また、現場実証実験により地下水流動による物質移動の評価を行うと共に過年度の研究において同一層内で地下水流動特性が異なることが判明したことを受け、新たに水みち調査を実施した。さらにサイト周辺の地下水環境変動予測技術を開発するため、サイト周辺の地下水流動の非定常解析を実施すると共に、基本的な物質移動に関して、有限要素法による移流分散解析結果と理論式に基づく計算結果とを比較することにより解の検証を行った。
なお、両再委託先の大学では、卒業・修士・博士研究を通じて、これらの成果を得る事で人材育成を行った。
概略
1. はじめに
2. 業務計画
2.1 全体計画
2.2 H30年度計画
2.3 平成30年度の成果の目標及び業務の実施方法
3. 平成30年度の実施内容及び成果
3.1 廃炉地盤工学を通じた人材育成プログラム
3.2 超重泥水・各種覆土の放射線遮蔽性能評価(再委託先:早稲田大学)
3.3 地下水環境等の解析・調査技術と予測技術の高度化(再委託先:千葉工業大学)
3.4 研究推進
4. 結言