「現場実験から把握する地下水の実流速(その3)」廃炉地盤工学委員会講習会

 本講習会は、福島第一原子力発電所の廃止措置において、「現状から廃止措置までの長期間の地下水環境・作業環境の状況調査と将来予測」のために、原子力技術者と協働できる新しい地盤工学技術者の育成プログラムとして企画された「廃炉地盤工学委員会」の活動の一環として実施したものである。
 本講習会は、基本的に2018年度と同様に午前の座学と午後の現場実験を組合わせて実施した。座学では問題点の概要に加え、現場ボーリング孔を用いた実験の目的と内容を説明し、現場実験では水理試験(揚水試験)を行い、前年度から改良したトレーサー試験を実施した。なお、現場実験では、温度検層により水みちを特定した結果を説明すると共に、孔内の対流が測定結果に影響を与えることが分かったことを受けて開発した新たな電気伝導率計を用いて、トレーサー試験を行い、平均実流速を把握した。この試験は、揚水井戸で対象土層に動水勾配をつけた一種の加速試験であるため、測定結果からだけでは実流速は評価できないことから、モデル解析を併用して、実流速を解釈した。
 以上の講習を通じて、受講者は、実際の計測の問題点とその解決策を把握し、今後の現場実測のあり方を理論と実験の両面から学習した。

■日時 :2019年10月18日(金)9:00~16:30
■場所 :日本大学文理学部 8号館レクチャーホール
■参加人数 :16名(非会員)
■主催 :地盤工学会(廃炉地盤工学委員会)
■共催 :日本地下水学会
■プログラム :
  9:00~ 9:10 挨拶
  9:10~10:00 地盤の水理調査計画の考え方
 10:00~11:00 現場実習:トレーサー試験(トレーサー置換)
 11:00~12:00 温度検層結果と評価
 [休憩]
 13:00~14:00 トレーサー試験結果と評価
 14:00~15:00 トレーサー試験の理論解析
 15:00~16:00 現場実習:トレーサー試験(途中結果)
 16:00~16:30 質疑応答

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