地盤工学は原子力事業の支援技術の一つとして、地下水流動予測や各種地盤改良工法等の技術を通じて被災した福島第一原子力発電所における諸課題の解決に寄与している。さらに、被災原子炉の廃止措置に至る今後の過程でも、汚染水対策・デブリ取出し・放射性廃棄物処分において重要な役割を果たすことができる。その一方、地盤工学・土木工学の専門家・技術者で原子力工学分野に精通している人材は少なく、廃止措置に貢献できる基本的技術を保有しているにもかかわらず、直接的な寄与が十分にはできていないのが実情である。
このような背景のもと、地盤工学会では「福島第一原子力発電所の廃止措置を実現させるために実効性の高い地盤工学的技術を提供すること」を目的として、「廃炉地盤工学」の創設を行うこととした。これは、原子力発電所の現状から廃炉までの時間軸を考慮しつつ、高放射線環境等原子力特有の条件と地盤工学とを融合させるものであり、廃炉過程での地盤工学的技術の活用の促進を目指したものである。
以下の(i)~(iii)は廃炉地盤工学の下で取り組んでいる研究開発項目である。
~福島第一原子力発電所汚染水問題に関する会長特別懇談会~
文部科学省「国家課題対応型研究開発推進事業-廃止措置等基盤研究・人材育成プログラム委託費」『汚染水対策・デブリ取出しから廃炉までを想定した地盤工学的新技術開発と人材育成プログラム』 (F/S研究)
~福島第一原子力発電所廃止措置に向けた地盤工学的新技術と人材育成に関する検討委員会
文部科学省「英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業 廃止措置研究・人材育成等強化プログラム」『福島第一原子力発電所構内環境評価・デブリ取出しから廃炉までを想定した地盤工学的新技術開発と人材育成プログラム』